紺色の長袖服に丈の長いスカート、白いエプロンドレスで正面を覆ったメイド服。手にも白い手袋。靴下で素足が覗くこともない。すらりと伸びているはずの首にもリボンのチョーカー。
詰まるところクレアは──クレア・ヴァーミリオンは、顔しか肌を見せていない。
魔女にしては稀な、比喩でもなんでもない、文字通りの白い肌。青白いと言ったほうが正確だろうか。
背中まである黒髪が、余計に青白さを強調させている。
「私の儀式はずっと先。私たちはただ愛し合っていただけよ、クレア?」
澄まし顔は変わらず、身体を密着させて勝ち誇ったようにローレライは言った。
片や、それが返事であるかのように沈黙するクレア。
クレアは僕に対し、恋慕に近い念を抱いている。恋と呼べるものでもなければ愛と呼べるものでもない。
縋りつくものがそれしかないから抱いているだけの感情。とても後ろ向きな、仄暗い想い。
頼りない藁を掴もうとするくらい、クレアは過去に溺れている。魔女であることを一度は捨てた──自身の過去に。呼吸の仕方を忘れるほど、息苦しく。感情を見せない冷静な表情の裏で、ずっと……。
僕と多くの魔女の関係を乱暴に、誤解を恐れず言うのであれば、ギブアンドテイクの協力関係と呼べるだろう。それは聖教騎士団への復讐に限ったことではない。
クレアには世話になっている。藁にしかならないとしても、クレアの助けになるのならどんな役目を担おうと、僕はかまわない。同情ではなく、協力関係として。
僕は──だ。
「相変わらず、その【鑑定】はなにも映せていないようね、クレア」
魔女であることを捨てたこと──魔女であることから眼を背けたこと。
それらの関係性を含め、クレアのことを快く思わない魔女たちがいる。その代表格が──ローレライ。
魔女の資質を量る天秤。クレアの固有魔術──【鑑定】を揶揄して嘲笑う。
「自分は鑑定られない」と。
ローレライの挑発を冷静な表情で受け流し、目線を向けようともせず淡々と、それでいて涼やかにクレアは小さく口を開く。
「エマからの報告です、ネロ様。現在メイリオ街道を北東方向に逸れ、逃亡奴隷と思しき女性が追われています」
北東方向──この山だ。
「何人に?」
「六人の男です。短剣を携帯しています」
厄介だな。逃亡奴隷がこの山に逃げ込めば、最悪、人数を集められて山狩りだ。館も村も見つかってしまう可能性がある。できれば関わりたくない。別方向に誘導するのが一番だけれど……。
話こそ聞きはすれ、聖教騎士団に入団する前にさっさと王都から逃げ出した僕は、奴隷というものを詳しく知らない。大きな街に住んでいたことのあるクレアは知っているんだろう、逃亡奴隷の悲惨な末路を。
クレアの口調からして、「助ける許可が欲しい」と言外に言っている。
逆に、衣服を整え終わって、片手を腰に添えるローレライは放っておけばいいという態度だ。
クレアに対抗して、ではなくごく自然な対応として放っておけばいいと、そういう澄ました顔をしている。
ローレライに賛成だ。僕たちは逃亡奴隷を助ける義理もなければメリットもない。
助けるということは、六人の追っ手を追い払うか殺すかし、逃亡奴隷を館に匿わなければならなくなる。
追っ手だけどうにかして、逃亡奴隷をその辺に放置したところで、結局は野垂れ死にするだけだ。
だったら最初から助ける意味はない。そして逃亡奴隷を助けるとしても、ローレライの魔術が必要になる。
ローレライの固有魔術──【狼転心】で、狼の群れを操らなければならない。
それ以外の方法で助けられないこともないけれど、どこに誰の眼があるかもわからない状況だ。狼の群れに襲われたという偶然を装うことが、一番の方策。
「ローレライ、狼は空腹かな?」
「満腹よ」
即答。やっぱり、放っておけということらしい。
『助ける』の選択にローレライの【狼転心】は必須条件。彼女が頷かなければ、それが結果と見做すしかない。
逃亡奴隷は助けない。そう決めたところで、ローレライが言葉を続けた。
「──だから、運動の必要があるかも知れないわね」
逃亡奴隷を助ける気があるのか?
髪を華麗にふわっとかき上げ、ローレライは眉を顰めた僕へ目線を向ける。
「条件があるわ。──次の満月の夜、一晩中私を抱くこと」
「満月はクレアの儀式の日だよ」
「だからよ」と凄惨な微笑みを浮かべるローレライ。今度は、あごを上げた顔をクレアに向ける。
「私を抱いたあとのネロに抱かれなさい、クレア」
重く響く。
僕に出した条件でもあれば、クレアに出した条件でもある。一対九くらいの割合で。僕はそもそも逃亡奴隷を助けることには否定的だから。ローレライはそれを承知の上で、条件を提示している。あるいは利用して。
冷静な表情を崩さないクレア。佇まいすら微動だにしないまま、ただ「はい」とだけ一言。
ふたたび沈黙する。沈黙のほうがよほど雄弁な、沈黙。僕への意志確認も沈黙したようだ。
「そういうことだから、奴隷が殺される前に片づけてくるわ」
「一緒に行くよ」
「彼方は早く館に帰って身体を休めなさい。精を放って、また疲労させてしまったわ」
確かに疲労している。けれどローレライについて行けないほどでもない。自衛の術くらいは備えている。
【狼転心】があるとはいえ、相手は六人の男。さすがにローレライ一人で行かせるのは無責任だろう。
「心配しなくても大丈夫。今の私の魔力はリゼに次ぐわ」
すっと身を寄せ、「満月が待ち遠しい……」と耳元で妖艶に囁いてから頬に触れて、森の奥へ消えていった。
リゼに次ぐ魔力値。
それは山奥で平和に暮らしている百人超の魔女を合わせても、上から二番目の位置。それだけ膨大な魔力。
本当に引き上がったのか?
森で行為に及び、精を放っただけで──それをクレアに見られただけで、根源欲求が揺さぶられたのか?
男なら不倫のような『他人の女を寝取っている』という背徳的な感覚が、快感を強めることもあるのかも知れない。女性にもそれに近い感覚があるものなのだろうか。『クレアから僕を奪った』──という感覚が。
でも僕はクレアのものってわけではないし、そんなことはローレライだってわかってるし。
そもそも館にいる魔女とは全員、交わってるわけだし。
「ねぇ、クレア。ローレライの魔力は本当に引き上がったの?」
「おめでとうございます」
迂遠な回答。けれど本当らしい。そして、どうやら怒っているらしい。ローレライにだけではなく、僕に対しても。
クレアは無表情に「館に帰りましょう」とツカツカ歩き始めた。
そのあとを追う。
館に帰り、すぐに一睡。
目覚めると、部屋の窓から月明かりがぼんやりと射し込んでいた。深夜らしい。身体が重たく、ベッドは寝汗でベッショリ濡れている。テーブルには、ローレライからもらった蜂蜜の小瓶が置かれていた。
お風呂と食事を同時に済ませる為、僕は小瓶を持って館の地下室へ。
独房のような石製の小部屋。バスタブがあるので一応はお風呂である。水道などという気の利いたものはなく、大鍋に火を焚いて湯を沸かし、バスタブに張った水に注ぎ足して、適温を作らなければならない。
面倒な作業だけど、いい加減慣れた。王都から逃げ出しもうすぐ六年。これでも快適になってきたほうだ。
湯船に浸かり、ほっと一息。鈍色の天井をぼんやり眺める。
コツンコツンと、石畳を叩く足音が近づいてきて、扉の前で止まる。歩調に乱れがない、きっとクレアだろう。
「ネロ様、ご報告よろしいでしょうか?」
「逃亡奴隷は助けられたのかな?」
「はい。今は気を失っているそうですが、明朝には館へ到着する予定です」
「そっか」と端的な言葉で呟くと、返ってきたのは「申し訳ありません」と酷く沈んだ返事だった。
「また……ネロ様を振り回してしまいました」
「一緒にお風呂入ろうよ、クレア。ちょっと内緒話がしたいんだ」
「……はい」
間を作った返事をして、次に緩やかな衣擦れの音。
メイド服は着るのも脱ぐのも大変だ。時間が掛かっているのは、そのせいだと思うことにしよう。
しかし、衣擦れ音がまったくしなくなっても、クレアは一向に扉を開けようとはしなかった。
「……申し訳ありません。ネロ様を賭けの対象にしてしまい、負けてしまいました」
条件があると言い出したローレライのあれは、クレアにとって『賭け』だったのか。
条件を呑まなければクレアの望みは叶わず逃亡奴隷は死ぬ。そして満月の夜、僕をローレライの元に行かせることはなかった。条件を呑めばこの通り。逃亡奴隷は助かり、けれど僕はローレライの元に行くことになった。
賭けというのであれば、どちらにしてもクレアの負けが決定しているダブルバインド。
賭けに乗ってしまった時点で負け。僕と逃亡奴隷を同じ天秤に乗せてしまった時点で、クレアの大きな負け。
乗せるよう誘導したローレライの勝ち。賭けというのであれば、だ。
「クレアの大好きな人が、クレアの大嫌いな人に奪られちゃうね」
「……はい」
「僕は売られていく仔牛の気分だよ」
「……申し訳ありません」
「最後にママのおっぱいが飲みたい。早く入っておいで」
キィィ……と、ゆっくり扉が開く。
顔を伏せ、前髪を垂らすクレアの表情はわからない。けれど、表情以外はすべて曝け出されている。
青白い肌。すらりと伸びた手足。くびれた腰の上にあるのは形のいい大きな乳房と、桜ん坊のような乳首。
下半身には肉感のある安産型の大きなお尻。下腹部はなだらかな曲線を描いて、手入れのされた陰毛を見せている。不均等にならないぎりぎりの均等を保った、理想的で魅力的な体型。
足が滑らないように、僕は手のひらを差し出した。
「風邪を引くから、早く湯に浸かろう」
手を掴み、片足を上げ、バスタブに入るクレア。腰を下ろすと、音だけがそこにあるように湯が溢れた。
手を伸ばさなくても触れられる距離。けれど真正面のクレアはいまだ顔を上げない。
「顔を見せて?」
「…………」
沈黙。この沈黙は、なにも語っていない。
「白い肌。雪原に紛れる白兎のように。だからきっと──赤い瞳」
ピクリとして、隠すのを諦めたようにおずおずと顔を上げる。山林で背を向けたときにはもう涙を溜めていたんだろう、真っ赤に眼を腫らしていた。代わりに僕が顔を伏せる。目線は下、クレアの乳房に。
「おっぱい触っていい?」
「……どうぞ」
お許しが出たので、両手でクレアのたわわなおっぱいを揉む。揺れる水面が、裸体の艶かしさを足していた。
上から覗けば、華奢な鎖骨。下腹部と陰毛。丸みを際立たせる太もも。
「泣くくらいなら、奴隷なんか放っておけば良かったのに」
「そんなことでは、泣いたりしません……」
「儀式でもないのにローレライを抱いたこと、怒ってるの?」
「そのことで怒る権利を私は持っていませんし、泣く、というほどではありません」
「じゃあなんで泣いたの?」
「……わかりませんか……?」
何故だろう、わからない。
抱く抱かないだけで言うのであれば、儀式の関係上ローレライよりもクレアのほうが遥かに多く抱いている。館のみんなも別段、不具合なく抱いてるし、それを管理してるのは他でもないクレアだ。
「ごめん。本当にわからない」
本来であれば魔女にとって、僕に抱かれるというのは──精を放たれるという行為は、当然の儀式であって、食事に等しい意味しか持たない。もちろん拒否することだってできる。
「私は……ネロ様が……彼方のことが、好きです」
「うん、知ってる」
「彼方は、誰が……好きなんですか……?」
「僕は特定の誰かを特別に好きになることはないよ。って、知ってるよね?」
「知っています。……知っている上で……訊いても……いいですか……?」
「いいよ、なんでも訊いて」と、僕はクレアのおっぱいを揉みながら答えた。
ちゃぷんちゃぷんと水音が鳴る中で、しばしの沈黙。
けれど雄弁なる沈黙は言っている。「本当に訊いてもいいんですか?」と。
柔らかなおっぱいが解れて、さらに柔らかくなってきた。
今まで触れずにいた乳首を、きゅっとつまんで返事に代える。
「──んっ」と、声が漏れた。その勢いで、沈黙を破る。
「な、何故……ローレライとの逢瀬を、隠していたんですか?」
「おうせ?」
一瞬その言葉の意味がなんなのかわからず固まったところに、僕の両手首を掴んで身を乗り出したクレアが、鼻の頭が当たるくらいの距離で、叫んだ。
「特定の誰かを好きにならないと言うのなら! 特別な誰かを作らないと言うのなら! 何故、逢瀬を重ねていたんですか! 館と小屋の真ん中で! 誰にも見つからないところで隠れて! どうして逢瀬を重ねる必要があるんですか! どうして私に隠す必要があるんですか! 彼方が好きです、私に至らないところがあれば直します! いえ、ネロ様の手で私をお好きなように直して下さい! 身体の形から心の形まですべて! ネロ様のお好きな形に! だから捨てないで下さい! 心がローレライに向いても、どうか私をネロ様のお傍に置いてやって下さい!」
眼だけではなく顔まで真っ赤にして、一気に捲くし立てたクレアは「はぁ……はぁ……」と息を切らした。
おうせ。逢瀬とは──愛し合う男女が密かに会うこと。
「クレア、それは誤解だよ」
「いえ、私の本心です」
「そうじゃなくて、僕はローレライと逢瀬なんて重ねてないよ。あれが初めて。エレノアを助けるときローレライには随分と無理してもらったから、そのお礼みたいなものだよ。一回こっきりのね」
跳ねたお湯で髪を濡らし、影を落とす長いまつ毛にも水滴が乗っていた。信じられないという瞳で真偽を問う。
「……本当ですか……?」
不安と戸惑いが滲み出ているクレアの顔。泣いたあとではなく、これから泣き出しそうな表情。
唇から少し逸れて、頬に軽くキスをする。
「このキスに誓って、本当」
顔を離し、頬に手を添えるクレア。
「──ぁ、キス……初めて……」
「長いつき合いになるけど、そうだね。なんせ僕の初めてのキスだ」
さっきとはべつの意味で、信じられないという丸い瞳。
一度だけ、「キスは苦手なんだ」とクレアに言ったことがある。憶えていたんだろう。
本当に、キスは苦手だ。
特別な感じがして。
「──も、申し訳ございません。取り乱して……しまいました」
「誤解は解けたかな?」
「こ、この……キ、ス……に、誓って頂けるの……なら……」
気が動転しているのか、揺れる水面に映る自分の顔を見たり、ぎこちなく僕の顔を見たり、なにもない石壁を見詰めたり、すっかり冷静さを失くしているクレア。
「おっぱい飲んでもいい? クレアのお乳は美味しそうだ」
「で、出ません……お、お乳……なんて……」
「じゃあ、出るまで吸い続ける。──あーん」
瞼を閉じ、口を空けてじっと待つ。
薄目を開けると、クレアはどうしたらいいのか困ったふうにあたふたしてから、片方のおっぱいを両手で持ち上げて、乳首を僕の口内に入れる。唾液を溜めた舌で乳首をくるりと転がして、ちゅぅ~……と吸った。
「──んっ」
肩で乳房を寄せるようにして、身を小さくしたクレアは漏れ出しそうな嬌声を堪える。
他人に嬌声を聞かれることを嫌うクレアは、いつもこうして我慢する。僕は嬌声を出させようと舌先を動かしながら、ちゅぅ~……と、乳首を吸い上げた。
「お乳、出ないね」
「──んんっ……わ、私は、お乳は……あっ、で、出ません……」
「おっぱいをよく揉み解せば、きっと出るよ。僕は乳首を解すから」
舌先で乳首を下から持ち上げるように丹念に舐める。ぴんっと、音が弾け出そうなくらいに硬くなっていた。
「──んんっ」
「ほら、クレア。おっぱい揉んで」
「──は、はい……んっ」
出るわけないとわかっていながら、クレアは自分のおっぱいを両手で揉み始めた。そのリズムに合わせてちゅぅ~と乳首を吸い続けながら、舌でころころ転がす。
「んん……ふぁ……あ、あっ……んっ」
──ちゅぅ~ちゅぅ~……。
「ぁ、んっ……んん……んぁ……あ……あっ」
乳首から口を離し、クレアの背中に手を回す。豊満な乳房に反して、薄くて狭い背中に。
「もっとこっち来て、僕の膝の上に乗って」
「ぁはぁ、はぁ……は、はい……」
対面座位のように向かい合い、片手は背中に手を回したまま、もう片方は肉づきのいいクレアのお尻に宛がう。
お腹が密着して、チャプンと水音が鳴る。小部屋に反響すると、そういえば風呂に入ってたんだと思い出した。
「……んっ、あ、の……ネロ様の……が、私、のに……当たって……あっ」
クレアの秘部の真下にあるモノは、膣内に挿入ってしまう勢いで屹立していた。さおの部分はすでに、われめに挟まれている。
「こっちのおっぱいを試してみよう。──あーん」
「あ、あの……私は、お乳は……絶対……で、出ません……から……」
「あーん」と開け続ける僕の口に、おずおずと隣のおっぱいを持ち上げ乳首を運ぶクレア。口内に入ってすぐ、乳輪ごと吸い上げながらそれを舐め転がす。
「んっ……んん……ぁ……んっ」
片手でお尻を揉みつつ、ずいっと背中を抱き寄せて顔をおっぱいで埋めた。口内では舌を左右に動かし、クレアの乳首を弄ぶ。ちゅぅ~と吸い上げ乳首を転がし、ちゅぅ~と吸い上げては、また乳首を転がした。
「──んっ……んんぁ……んっ、んっ……んんっ」
頑なに唇を結び、クレアは漏れてしまいそうな嬌声をどうにか堪えようとする。
「──ぷはぁ、お乳出ないね」
「はぁ……ん……わ、私は、お乳は……お乳はぁ……出ません……ネロ様……」
「こんなに大きなおっぱいしてるのに?」と、ぺろっと乳首を舐めて言う。
ビクンとクレアの身体が浮き、ふたたび沈むと、さおが秘部を刺激し、クレアの腰が前後に動いた。
「──ああっ……んっ」
僕の首に手を回し、刺激に堪えるクレア。髪から滴る水滴が肩に弾ける。
「乳首もうちょっと強めに吸ってみようかな」
両手を巻きつけたままクレアは首を振って、「出ないです。お乳……絶対に、出ないです、ネロ様……」と弱々しい声で答える。
「クレアのお乳は甘くて濃厚で、美味しいと思うんだけどな」
「出ません、絶対に出ません」
「じゃあ、声を出そうか」
「……こえ?」
「お乳で僕の舌を楽しませてくれるか、クレアのいやらしい声で耳を楽しませてくれるか、選んでくれる?」
「わたしは、声は……」
「ここは地下だから誰にも聞こえないよ。僕だけにしか聞こえない」
巻きつけた手を緩めてクレアは僕を見た。膝の上に乗ってるクレアの目線は、やや下。
沈黙に入りそうだったので、グッとモノに力を込めて熱り立たせた。
「──んぁ!」
クレアのわれめに深く入り込むモノ。自然と彼女の腰はわずかに前後する。僕の顔を見ながら、僕にはわからないと思わせる程度に。けれど水面は確かに揺らめいている。
両手が緩められたので、乳首が口に含められる位置に来た。「あーん」と口を開ける。
「やっぱり、お乳にしよう」
「──こ、声で。ネロ様、声でお願いしますっ」
「クレアのいやらしい声、たくさん聞かせてくれる?」
「──は、はい……」
了承を得ると同時に、僕はクレアのおっぱいにしゃぶりついた。ちゅぅ~……ちゅぅ~……と。
「あっ! ネ、ネロ様、お乳じゃ、お乳じゃありま……あっ、んあぁ!」
「うん、お乳は諦めた。これはクレアにいやらしい声を出させる為だよ、れろれろ」
「──ぁんっ……ぁ、あんっ……これ、では、同じっ……で、は、あっ……んんああっ!」
「もっと腰を動かして、クレア。それとも僕が動いたほうがいい?」
「──わ 私が、あっ、動きます、んぁ……あ、あっ」
ばしゃんばしゃんと波打って、バスタブのお湯が零れ始めた。首にしがみつき、クレアの腰が激しく揺れる。
「ぁんっ! ──んぁ、あっ! 硬いぃ……んっ、ネロ様ぁ、の……っ」
「なにが硬いの? クレア」
「んぁ! んっ! ネロ様の……あっ、立派な……あんぁ、おちん……ちん……で、す……っ」
顔を上げてクレアを見る。紅潮して「はぁ……はぁ……」と口で息をする、クレアの乱れた表情を。
「──あんぁ……っ! ネロ様……ぁ……んぁ、ネロ様ぁ、ネロ様ぁ……!」
「いやらしい顔をしていたほうが素敵だよ、クレア。ずっと、そのままの顔でいて」
「あんぁ、い、今だけぇ……あっ! ネロ様の前だけでぇ、んっ……ああっ!」
「みんなにも見せたほうがいいと思うけどなぁ」
「いやぁ、あっ! ネロ様の、前だけぇ……私は……はぁ、ネロ様の、んっ、ものぉ……です、からぁ……」
「クレアのいやらしいおまんこも、僕だけのもの?」
「あっ、わ、私の……おまん、こ……んはぁ……ネロ様だけの、おまんこ、です……ぅ」
「いやらしいおまんこじゃないの?」
「いやら……しいです。わたしの、おまんこ……はぁ、ネロ様だけの、いやらしいぃおまんこ……です」
片手に収まっていたお尻を、ぎゅっと握って、
「──んあぁ……!」
そして、中指の腹をお尻の穴に当てて、くにくに動かす。
「──あっ、そこぉダメ、で、す。ちが、違い、ます……んっ……そこはぁ……っ」
「ん、違わないよ? ここはクレアのお尻の穴だけど」
「そ、そぉで、す、けど……んっ、あっ! そこはぁダメぇ、指ぃ挿れちゃダメぇ……ですぅ」
「え? どこに挿れちゃ駄目?」
「え、あっ! はぁ、お尻ぃ……です。わた、わたぁ、あっ、しの……お尻の……あなぁ、ダメぇ……」
お尻の穴に当てている指を、さらにくにくに動かす。指の腹だけ埋めていくように。
「あ、はぁ……へ、変な感じぃ……お尻の穴ぁ、ダメぇですぅ……ネロ様ぁ……お尻はダメぇ……」
「でも、腰の動きが激しくなってるよ?」
「ネロ様、もぉ……おちんちんがぁ、あんっ! 硬く……硬くなっ……てっ、あっ……んああ!」
「クレアの可愛いお尻の穴、駄目?」
「ダ、ダメぇです……はぁ、変な感じぃ……だから、お尻はぁ……ダメぇ、あっ、んぁ、です……ぅ」
秘部をモノで擦り上げる合間を縫い、クレアは小さく肩を震わせて、本当になんとも言えない表情を浮かべる。
お尻の穴は未開発なんだろう。少なくとも僕は開発した憶えはない。
「指、挿れちゃダメ? クレア」
「あっ、んんっあ、ダメぇです……お尻、のあなぁ……ネロ様ぁ、ダメぇ、あっ、ああ……」
指の爪はすべて、深爪と言えるくらい切ってある。ゆっくりと、ほんの少しだけお尻の穴に指を挿れる。
秘部とはまったく異なる感触が、指先を締めつけた。
「──ああっ! はああああぁぁ……!」
「変な感じ?」
「──あはぁ、変な感じぃ……変な感じぃ、ぁはっ、ダメぇ、ダメぇ、ですぅ……ネロ様ぁ」
「お尻の穴と、おしっこ、どっちがいい?」
「……え? おし? あっ……お尻ダメぇ、挿れちゃダメぇ……挿れちゃダメぇです……ああっ」
指を深めていく。快感を多分に含んだ、未知の感覚に戸惑うクレアの表情を見詰めながら。
「このまま、お尻がいい? それとも、おしっこ?」
「あっ、んっ、おしっ……こ、って、なんです……か……?」
「おしっこしてるクレアの姿、見せて欲しいんだけど」
「……え? 見せ? あっ、あっ、い、挿れちゃダメですぅ、お尻ぃ……お尻は、ああああ!」
「お尻の穴に指が挿入っちゃうまでに決めてね、クレア」
「──んぁ! おし……っこ、ネロ様ぁ、おしっこぉ、おしっこにぃしてぇ……お尻はダメぇ……っ」
ゆっくりと指を抜く。と言ってもほとんど挿れてないのだけれど。
クレアは僕にぎゅううっと抱きつき、離そうとしなかった。彼女の弾んでいる息遣いが全身に伝わってくる。
僕は、ぽん……ぽん……と、優しく背中をたたいて撫でる。赤ん坊にする、それのように。
呼吸が整うと、手を離すクレア。対面座位のまま顔を伏せて、
「あ、あの、本当に……ですか……?」
と上目遣いでこちらを覗く。
「なにが?」
「してる……ところ、おし……っこ……です……」
「うん、見たい。クレアがおしっこしてる姿は可愛いだろうからね、絶対に」
言って僕はバスタブの栓を抜いた。お湯がどんどん減っていく。
その様子を膝の上に乗ったまま黙って見詰めていたクレアが、ハッと気づいた。
「──こ、ここで……ですか……?」
クレアの頬に触れながら「駄目?」と、訊ねる。
もう、お湯は失くなっていた。僕はバスタブの縁をとんとんっと指で叩く。
「ここに座って足をひろげて、クレアのいやらしいおまんこ見せて」
これからする行為を思い浮かべているのか、目線を泳がしながらもじもじと立ち上がって、クレアが縁に腰掛ける。眼前の彼女の膝小僧をくすぐるようにつつくと、ゆっくりと両足を開いて秘部を露わにした。
手入れされた陰毛の下、すでにほころんでいるわれめがぷっくり膨らんでいる。
太ももに手を添えると、ピクンと反応してクレアの髪から水滴が降ってきた。
「おまんこぴくぴくしてる。生きてるみたい。可愛い」
「い、言わないで下さい。い、いつも……いくらでも、見ているじゃあ……ないですか……」
「場所が違うから新鮮なんだよ。それに今からクレアがおしっこするんだから興奮もする」
立ち上がって、屹立しているモノを見せる。
クレアの柔肌に先端が触れるとドクンと跳ね上がって、彼女を驚かせた。
「ほら、こんなに元気。さっきまでクレアのおまんこで擦られてたモノだよ。触ってみて」
「い、いいんですか?」
「僕もクレアの乳首に触りたい。触りっこしよう」
乳首を両の指で弄ると、
「──あっんっ」
甘い嬌声を上げて、クレアも脹れ上がったモノを、そう……っと、手のひらに包む。
「あ、熱い……ネロ様のおちんちん、すごく、熱い、です。──あんっ、んあっ」
「クレアの乳首もこりこりしてる。もう敏感になってる?」
「ずっと、あっ、んっ……敏感……です、はぁっ、ん……敏感でした、ずっと、ん、ああ!」
「おまんこも敏感になってる?」
「なって……ます……んっ、ネ、ネロ様のおちんちんを、握ってますから。ネロ様の──おちんちっ……あっ」
「申し訳ないんだけど、今日はもう僕の役立たずなモノは使えないんだ」
「いいです、あっ、こうして一緒に……気持ち良くなって、あっ、乳首、乳首ぃ気持ちいいです、ネロ様ぁ」
「おまんこも気持ち良くなって、クレア」
僕はふたたび座って、クレアの股の間に入った。
愛液が太ももを伝い垂れている。舌を伸ばして愛液を掬い、腫れ上がっているクリトリスに塗りたくった。
「──あんんっ……ネロ様っ……そこぉ……気持ちいい……んぁ、ネロ様ぁ……あっ……あっ……っ」
舌先で感じる熱い肉芽。転がすたびにクレアの嬌声も転がるように零れ出る。われめから愛液を掬って、どんどんクリトリスを濡らしていくと、控えめに開いていた両足が水平に近づいていった。
「あっ……あっ、んっ……んぁん……そこ、気持ちいいぃです、ネロ様っ、ネロ様ぁ……あ、あっ、はぁっ」
「びんびんに勃起してるよ? クリトリス気持ちいい?」
「いいです、あっ……クリトリス、気持ちいいぃです。ネロ様の舌ぁ、クリトリスで、わかります……あっ」
クリトリスも乳首みたいに吸い上げる──ちゅぅ~……と。
「──あぁ! あ、はっ! 気持ちいっ、あっ! いいぃ……ネロ様ぁそこぉ気持ちいいぃ……あっあっん!」
「片足、縁に上げてもっとおまんこ開いて、クレア。全部吸ってあげるから」
「──は、はい、ネロ様ぁ、吸って下さい……私のおまんこ全部、吸って下さい、ネロ様ぁぁ……」
左足を縁に乗せると、これ以上ないくらい花びらはぱっくりと花咲く。滴り落ちる愛液は、足元で水溜まりを作っていた。
おまんこ全部に口づけて、強めに、ちゅぅ~……ちゅぅ~……と膣内まで吸い上げる。
「──んはぁ! あっ、いい、んぁ……おまんこ気持ちいいぃ、あっあっはぁ、いいぃ、あっ! 舌ぁ挿入ってきましたぁ、舌ぁ、ネロ様の舌ぁいいぃ……あ、気持ちいいぃ……あっはっぁ! ネロ様っ舌ぁああぁ! んぁ、気持ちいいぃですぅ……私のおまんこにネロ様の舌ぁ……あっ、あっ、おまんこにネロ様の舌ぁああああ!」
くねくね動いてしまうクレアの腰を掴んで、秘部の奥まで吸い上げる──ちゅぅ~……ちゅぅ~……と。
「はっ……いいぃ、あっんんぁ、あっ! イぃ、ネロ様の舌ぁ、イぃ、イキそぉです、イク、あっあぁぁ!」
「イクときは一緒におしっこしてね、クレア」
「あっ、え? あぁ! ダぁ、ネロ様にぃ、おしっこかか──あっ! ダメぇ、イクぅ、ネロ様ぁ……おしっこがぁ……私の、おしっこかかっちゃ……あっ、イクぅ、ネロ様におしっこかかっちゃ……ああ!」
「ほら、おしっこ漏らしながらイって。クレアがおしっこ漏らしながらイっちゃうところ、見たいんだ」
「やぁ、ダメぇ、ネロ様ぁ……おしっこぉ、あっヤっダメ、ホントに出ちゃう、かかっちゃう……おしっこぉ」
「お漏らしメイドのクレアは、おしっこしながらイかなくちゃ駄目だからね、お漏らしクレア」
「あっあっ! ダメぇ激しくしちゃダメぇ、イ、イっちゃう、ぁはぁ! イっイっあ……でちゃっ、でちゃうぅ!」
「おしっこ漏らして、クレア。ちゃんと見ててあげるから、お漏らしクレア、おまんこからおしっこ出して」
「ホントに出る、でちゃう、おしっこでちゃう──ネロ様にかかっちゃ、あっ! ダぁヤっ、んぁ、ああぁ! 退いてくだ、あっダメぇ、で、でる、でちゃうぅ! ホントにでちゃうぅ! ネロさまぁ! ネロさまぁ!」
舌の動きを激しくして──ちゅぅ~……。
「あっあっ! で、おしぃ……っこ、も、もう、でちゃ……で、ああああああああぁぁぁ────…………っ」
チョロチョロチョロ……チョロチョロチョロ……と、黄色い液体が流れる。
脱力しているものの、クレアは同時にはイかなかったので、そのままお尻を持ち上げて、舌をわれめの奥深くに挿入し、激しく動かす。
「──え? え? え? ああっ! ネロさまぁ……ダメ、いまぁダメぇです! まだ、おしっこが、あ、あっ、 ネロさまぁ、あっはっんぁ! した、したで、ネロさまの舌で、あっ、イクぅ……おしっこしたのにぃまたイクぅ、ダメぇネロさまぁ、イ、あっ、イク! イクぅイクぅ……したぁ、ネロさまのしたで、イぃ、あっはぁ! イっ、イクぅ、おまんこイっちゃあああああっ! あああああああああああぁぁ────…………っ」
愛液が飛び散って、膀胱に残っていたおしっこもまた、チョロチョロチョロ、チョロチョロチョロと流れ出た。
バスタブの縁に腰掛けつつも、気を失っているように身を放り投げて、壁に寄り掛かっているクレア。
僕はバスタブの中で、腰をついている。下半身にクレアのおしっこの温度を感じながら。
「……も、申し……申し訳……ありま……せん、ネロ……さま……」
「なにが申し訳ないの?」
「……わ、私の……お、おし……っこ……を、その、かけてしまい……ました……」
「可愛かったよ? クレアがおしっこ漏らしちゃうところ。これから満月の夜まで毎日、クレアのおしっこをかけてもらうかな」
「……え? あの、それは……?」
「ローレライに、こう言ってやろう」
雄弁な沈黙もいいけれど、たまには言い返しても罰は当たらないだろう。
「私のニオイがついた男に抱かれなさい」